GM003とGM004は、今、海の上にいる。
まだ日本で、その姿を見てはいない。
けれど、物語は到着してから始まるのではない。
海の向こうで出会い、
この二台を迎えると決めた瞬間から、
すでに次の物語は始まっている。
海の向こうから届いたGM003と、
横浜で初めて対面した。
写真では何度も見ていた。
年式も、サイズも、状態も知っている。
けれど、実際にその前に立ってみると、
写真から受け取っていたものとは少し違った。
まず目に入ったのは、
綺麗に残ったAirstreamらしいライン。
そして、それ以上に惹かれたのが、
長いこと人の手に触れられていなかったような空気だった。
磨き上げられているわけでもない。
綺麗に作り直されているわけでもない。
ただ、長い時間をそのまま抱えて、
そこに立っていた。
不思議と、すぐに何かを直したいとは思わなかった。
磨きたいとも、
新しくしたいとも思わなかった。
**まず、このまま見ていたい。**
そんな気持ちになった。
だから少しだけ、立ち止まってみた。
これから何をするかを考える前に、
この一台がどんな時間を過ごしてきたのかを想像してみる。
長いあいだ誰にも触れられなかった時間も、
このGM003が持っている物語の一部なのかもしれない。
古いものを直すとき、
つい「何をするか」を考えてしまう。
でも、この一台を前にして感じたのは、
**「何をしないか」を考えることも、
同じくらい大切なのではないか。**
ということだった。
古さを消すのではなく、
そこに残っている時間を見つける。
手を入れる前に、
まず、その一台と少し対話してみる。
海の向こうから、こちらへ。
第一話で想像していたGM003は、
もう目の前にいる。
けれど、ここから急いで次へ進む必要はない。
**立ち止まる時間も、
物語の一部だから。**
GM003の日本での物語は、
そんな静かな時間から始まった。
| 年式 | 1967 |
|---|---|
| モデル | OVERLANDER |